
懐かしの星組トーク
専科の万里柚美さんと、OGの出雲綾さんが出演されたスカステのトーク番組「専科の時間」を録画していたので、先ほどコーヒー飲みながら見たのですが、、、
お二人とも星組が長いこともあって、とっても親近感の湧くトークでした。
私が宝塚を見出したころは、たきちゃん(出雲綾)も柚美さんも、新人公演メンバー。
それなのにたきちゃんは既にベテランのような風格を滲ませ、美声を響かせていましたし、柚美さんはその美貌でひときわ目を惹く存在でした。
懐かしいな、あの頃の星組。
管理職をやるために宝塚に入ったんじゃないよね?
彼女たちは二人とも副組長、組長と、長い期間を管理職として過ごした経験を持ちます。
ゆえに、その苦労も共通の話題として盛り上がります。
今回のトーク、45分間のたっぷりトークで聞き応えのある内容でしたが、なかでも一番印象に残ったのがこの「管理職」について語っていたところ。
たきちゃんが宙組創設時に副組長を仰せつかり、組をまとめる役割を担うことになったとき、当時の理事長であった植田先生に言われたという言葉。
「あなたたちは管理職になるために宝塚に入ったんじゃないでしょ?」
なんだか、ポジティブなのかネガティブなのか、どちらにも取れるこの言葉。
つまりは管理職でありながらも「舞台人」であることを忘れるな、ということ。
管理職という事務的な役割に偏ってしまったら、下級生たちはついてこないよ、というお話だったようです。
舞台人としても努力する姿があってこそ、下級生たちはその背中を見てついてくるのだ、と。
もっともな話しではあります。
その通りだと思います。
ただ、、、個人的に思うのは、劇団がそれをタカラジェンヌに求めるのはどうなの?と。
舞台人であり続けるために、組長や副組長を引き受けて在団している方も、もしかしたらいるのかも知れませんが、、、
うーん、やっぱりココは少し見直していく必要がある気がしますね。
管理職になるってことと、タカラジェンヌとして舞台人でい続けること、現実的にはものすごい負担になるわけで。
休演者の穴埋め手配も組長さんの仕事
たきちゃんと柚美さんのトークではじめて知ったことですが、生徒の急な休演が発生した時に、その穴埋めの代役を割り振るのは「組長の仕事」なんですね。
ま、確かに、組長さんがやらなかったら誰がやってくれるの?って話ではあるのですが、ちょっと驚きました。
組長さんが急な休演者のために代役の穴埋めに頭を悩ませているときに、組子たちからも「ココ入れます!」とか声をかけてくれる、と言うような話もされていましたね。
割り振ろうと思って「できる?」と聞いて「できません」と言われば外さなければならないし、とも。
そうやって組み立てた代役一覧を事務局に提出しなければならないと話されていました。
私はこうした緊急時の代役対応を考えるのは演出家や、組P、事務方さんたちが軸になって決めていくものだとばかり思っていました。
そりゃ大変だ、、、。
ま、もちろん演出家や劇団の意図も汲みながらの代役配置にはなるのでしょうけれど、最終的に判断を下すのは組長さん。
お二人も「副組長と組長とではまったく責任の重さが違う」とおっしゃっていましたが、ものすごくそれはわかる気がします。
私も組織の長をしていましたから、その責任たるやナンバー2とは比べ物にならないというのはよく理解できます。
でもだからこそ、タカラジェンヌとして、舞台人としての背中を見せながら「管理職」の立ち位置を務めることを求められる組長さんって、、、と思ってしまいます。
タカラジェンヌと管理職
宙組でのあの痛ましい出来事があって以降、色々なことが見直されてきましたし、今も改革の道半ばであるとは思います。
それでも今公演での宙組の休演者の多さに、いちファンとして心配をしていますし、先日もここで「宙組の組織としての管理体制はどうなっているの?」と書いたところです。
事務的業務の負担という意味でも管理職は大変ですが、何よりも大変なのは人的なメンタルヘルスマネージメントです。
この大変さは私も身をもって経験してきましたから、組長さんへの負担も想像するに余りあります。
それでも、管理職である以上はどんなに大変であっても組子たち一人ひとりと向き合っていかなければならない、それが現実です。
であるがゆえに、タカラジェンヌと管理職を並行して同じ配分で全力を尽くす、ということへの限界を(外野ながらに)感じてしまいますよね。
同じ舞台に立っている上級生だからこそ理解してあげられる、というadvantageももちろん管理職にとっては重要な要素であるとは思います。
でも、植田先生のおっしゃったという「みんな管理職になるために宝塚に入ったんじゃないよね?であれば、舞台人としても努力しないと下級生はついてこない」というのは、ごもっともなようで、でも、言わば劇団が管理職へ押し付けている「理想の姿」でしかないように感じてしまうのです。
バリバリ管理職としての事務的処理能力だけをどれだけ発揮したとしても、下級生たちはそこを目指しているわけではなく「舞台人」になりたくて宝塚へ入って来たわけだから、誰も憧れませんよ、ついてはきませんよ、と言いたいのでしょうけれど、、、
生徒さんご自身がこの言葉に感銘を受けて頑張れた、という事実はもちろん素晴らしいことだし否定もしませんが、、、
今の時代、これから先、タカラジェンヌと管理職の位置付けは一定の線引きが必要であるように思います。
タカラジェンヌとして同じ舞台に立ち、その喜びと苦しみを互いに理解できる、そんな組長さんがいてくれることは確かに心強い。
でも現役のタカラジェンヌが兼務するのは、やはりキビシイのでは?
これは例によって私の勝手な提案なのですが、、、
タカラジェンヌであることを卒業されたあとも、劇団で振付家として活躍されているOGが大勢いるように、管理職も卒業生を起用したら良くないですか?
もちろん「なりて」を確保することも簡単ではないかも知れませんが、タカラジェンヌのセカンドキャリアとしては「あり」じゃないかなと。
阪急グループ関連会社で立派な管理職に就いているOGもいらっしゃるわけで、だったら、同じ舞台に立った経験があり、現役中に管理職の素質を持った人材を見極めつつ、スカウトも含め「組の管理職」として迎え入れればよくないですか?
宝塚歌劇団「組管理部」的な。
そうすれば各組の管理職たちが集まる会議だってしやすいし、情報共有が常にされている管理組織があれば、互いの組のフォローもできるわけだし、ときには管理職の「異動」だって組織内で可能だし。
もちろん一定の実績や管理職としての適性や資質を見極めて採用する必要があるので、実際にこれを形にしようとしたら時間がかかるとは思いますが、、、現役生徒が「舞台人」として芸の道を磨きながら、70人もの組子をかかえて管理職の業務をこなすのは酷。
ベテランタカラジェンヌの卒業後のセカンドキャリアとして、ひとつの「形」としては成立しそうな気がします。
まとめ
書き始めたら、いろいろと頭に浮かんできて、長々と私見を述べてみましたが、これはちょっと本気で考えて欲しい課題です。
宙組問題に端を発した劇団の組織としての問題と、その後の改革。
たきちゃんと柚美さんの「組長トーク」を聞きながら、これくらいの改革をしてくれればいいのに、、、と素直に感じた想いです。
ま、ね、いつものように「外野」からの勝手な声ですが。




